iPhoneだけで裸眼立体視を体験

皆さんは、裸眼立体視をご存知でしょうか?

裸眼立体視とは、特殊なメガネを使用しなくても3D映像などの立体物を見ることができる技術のことです。

Nintendo 3DSで体験したことがある方も多いのではないでしょうか?

今回はiPhoneだけで3D映像の撮影から視聴までを完結できる方法を書きます。

裸眼立体視デバイスについて

一般的に3Dコンテンツを体験するためには、特殊なメガネやHMDなどを装着する必要があります。

そのため、メガネをかけている人は体験できなかったり、ユーザに合わせたフィッティングやキャリブレーションが必要になることもあります。

裸眼立体視デバイスであればこれらの問題も解決でき、通りすがりの人に体験してもらうことも可能です。

私もイマーシブストアと言う裸眼立体視ディスプレイを使用した接客を体験したことがあります。

まさに、横を通りすぎるだけで立体感のある映像が思わず目を引いてしまい、見入っているうちに接客が始まる未来的なお店です。

裸眼立体視デバイスにもいくつかの弱点は感じます。

基本的には複数人で体験することができなかったり、画質が荒く感じることもあります。

しかし、どちらの問題も日々改善されており今後解決する問題かもしれません。

3Dコンテンツについて

最近では、iPhone 15 ProやiPhone 16以降のiPhoneで空間写真や空間ビデオを撮影することができます。

また、2D写真から空間写真を作成する方法もあります。

3Dコンテンツを作ると聞くと難しいと思うかもしれませんが、実はiPhoneの純正アプリだけで簡単に作成できます。

空間を3次元で記録と聞くと3Dスキャンをイメージする方もいるかもしれませんが、今回の裸眼立体視体験においては3Dスキャンは必要ありません。

むしろ、空間写真や空間ビデオを撮影をすることで、簡単で高画質なコンテンツが作成できます。

ちなみに、3DスキャンもScaniverseのようなアプリを使用してiPhoneだけで作成できます。

iPhoneで裸眼立体視

iPhoneで裸眼立を体験するためにはSpatialGlassと言う特殊なフィルムをiPhoneの画面に貼り付けて、専用のアプリで視聴する必要があります。

透明なフィルムなので、貼り付けたままでも今まで通りiPhoneを使用できます。

SpatialGlassはhttps://spatial-glass.comから購入できます。

専用アプリは、2025年4月19日現在ベータ版のためAppStoreからはインストールできません。

フィルム購入後にTestFlightの招待メールが届くのでそこからインストールします。

アプリのインストール後はアプリのガイダンスにしたがっていくだけで設定できます。

専用アプリのクオリティも高く、このアプリだけで空間写真や空間ビデオの撮影から視聴まで完結できます。

また、通常の写真や動画を立体視できるように変換する機能も備わっています。

皆さんが今まで撮影した写真や動画も立体視できます。

このアプリでどのような技術が使われているかは不明ですが、AppleもDepth Proと言う単眼カメラで撮影した写真から深度マップを推定するMLモデルを公開しており、このアプリにも同様の技術が使用されていると思われます。

専用のフィルムとアプリを通すことで裸眼立体視ができるわけですが、どのような仕組みで実現されているのか気になりますよね?

こちらは専用アプリで立体視を体験している時に撮影したスクリーンショットです。

元の写真(空間写真で撮影) スクリーンショット

この画像変換からして、おそらくフィルムはレンチキュラーレンズを使っているものだと思われます。

(後で立体視している時の動画を追記します。)

レンチキュラーレンズはApple Vision ProのEyeSightにも使われている、見る角度によって異なる像を表示することができる特殊なレンズです。

一枚の画像に左目用、右目用の画像を交互に配置し、レンチキュラーレンズを通して見ることで立体視を実現しています。

SpatialGlassのフィルム自体ついても触れておきます。

フィルムは硬質で通常のガラスフィルムと同じように使用できます。

フィルムのエッジが丸まっており指が引っかかりにくくなっていたり、インカメラの部分まで保護されていたりとガラスフィルムとしての品質も高いです。

いくつかの気になる点もありました。

まずはディスプレイの表示画質の劣化です。

通常のガラスフィルムとは違い、レンチキュラーレンズのような物を通しているので滲み感がドット感を感じます。

iPadでベーパーライクフィルムを貼った時の感覚に近いです。

もう1つはフィルムのサイズです。

このフィルムは4辺に黒い枠があるのですが表示領域よりも少し小さく作られており、表示領域と枠が少しだけ被ってしまします。

黒い枠とフィルムの境目が少し浮いているのも気になります。

表示領域と枠が被っているのも境目が浮いているのも4辺で起きているため、貼り付けがずれているわけではないと思います。

気になる点もありましたが、SpatialGlassはもっとも手軽に裸眼立体視を体験できる製品だと思いました。

普段使っているiPhoneを裸眼立体視デバイスに変えるからこそ、日常的に空間写真や空間ビデオの撮影や視聴をするきっかけにもなりますし、 自分のカメラロールにある思い出の動画を手軽に追体験してもらうことができたりと、裸眼立体視デバイスはiPhoneが一番最適な選択肢なのではとも思いました。

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